うごーび。
令和5年3月27日。
この日、「肥満」を気にしている方にとって記念すべき日となった。
ウゴービ(セマグルチド)が厚生労働省により正式承認されたのである。
これは30年ぶりの肥満症治療薬であり、自費でなく保険診療が可能なのだ。
説明しよう。
ウゴービについて。

・・・というわけですが、無条件に使用できるわけではありません。
「使用できる方の適応・条件」
高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、
食事療法・運動療法を頑張っても効果がでない人で、以下に該当する場合に限ります。
・Body mass index(BMI)が27kg/m²以上で2つ以上の肥満関連の健康障害※を有する
・BMIが35kg/m²以上
※肥満に関連した健康障害の例
1. 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
2. 脂質異常症
3. 高血圧
4. 高尿酸血症・痛風
5. 冠動脈疾患
6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
7. 非アルコール性脂肪性肝疾患
8. 月経異常・女性不妊
9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10. 運動器疾患 (変形性関節症:膝・股関節・手指関、変形性脊椎症)
11. 肥満関連腎臓病

<ウゴービ(セマグルチド)の働き>
一言でいうとGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1というのは脳の満腹中枢に作用して食欲を抑える働きと、胃内容物の排泄を遅らせて満腹感を維持する働きがあり、それらの働きを促進します。
つまりダイエットにつきまとう「食事制限」による辛さが軽減でき、比較的楽に体重減少が期待できるものと考えます。
<投与方法と量>
週1回の皮下注射になります。
痛みを伴わない使いやすいキットであるため、
一度使い方を覚えればご自宅で安全に自己注射いただけます。
用量は0.25㎎~2.4mgの5段階が用意されており、0.25mgから開始して、効果をみながら増量していきます。

<どれくらい痩せると?>
セマグルチドの効果を実証した「STEP6試験」についてご紹介します。
※対象は上記条件にマッチした東アジア人(日本人含む)です。
投与開始68週(1年4ヶ月)後の体重変化を評価したところ、
ウゴービ1.7mg群で9.6%減
ウゴービ2.4mg群で13.2%減
(プラセボ群で2.1%減)
という結果でした。
(60kgの方なら1.7mg群で-5.8kg、2.4mg群で-7.9kgの計算ですね。)

副作用としては主に胃腸障害(嘔気・下痢・便秘)が多いようです。インスリンではありませんので低血糖の心配はありません。
さいごに
ここまでご紹介しておいてなんですが。
実は、発売日と薬価は未発表です。
年内(2023年)には発売開始となるようですが、遅れがでています。
(効果が高いせいで、アメリカでの使用頻度が予想を上回り、日本への入荷が遅れているとか・・・)

当院での処方可能になりましたら随時お知らせ致します。

