鼻からワクチン「フルミスト」
ついに出ました痛くないインフルエンザワクチン。
今回はこの「フルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)」について、
説明してみます。
<フルミストとは>
・インフルエンザウイルスを弱毒化した生ワクチンです。活性を弱めた病原体を使用し、自然感染に近い免疫応答を引き出します。
・アメリカでは2003年から、ヨーロッパ各国でも2011年頃から使用実績があり、今シーズンからやっと本邦で一般接種が開始となりました。
<メリット>
・鼻から吸入するだけで接種が完了するので痛くない。特に小児や注射を苦手とする方々には朗報です。
・気道粘膜に直接作用するため、インフルエンザウイルスが感染しやすい上気道での免疫応答を強化し、効果も長期的に維持されると言われています。
<デメリットと注意事項>
・従来の皮下注型と比べるとお値段が倍以上(当院は¥7,500)となります。
・弱毒生ワクチンですので、当日体調が思わしくない方や基礎疾患(呼吸器、心血管、免疫不全など)のある方には接種が推奨されません。また、妊婦やステロイド治療中の方も接種を避けるべきです。
・年齢制限が設けられています。当院では今シーズンは小学1年生~高校3年生へと限定させていただきます。
・他のワクチンとの同時接種は避けることが推奨されており、接種間隔も4週間以上あけることが望ましいです。
<接種方法>
専用のスプレー容器を使用し片方ずつ両方の鼻腔に0.1ccずつを噴霧します。1回/年の接種で十分とされています。
<副反応と安全性>
従来のインフルエンザワクチンと同様に以下のような副反応が生じることがあります。
・鼻水や鼻づまり、咳や喉の痛みといった感冒症状
・微熱や倦怠感
・頭痛や筋肉痛
※症状は一時的であることが多く、重篤化する報告はありません。
<接種費用>
当院では¥7,500。小児も1回のみで接種終了です。
※健康保険は適用されず、全額自己負担となります。
<予防効果の範囲>
3価インフルエンザワクチンであり、A型のH1N1、H3N2、そしてB型の1系統のウイルス株に対して予防効果があります。この3価の組み合わせは、世界保健機構(WHO)の推奨を元に決定しており、日本国内で生産される従来型の不活化ワクチンとは異なる株ですが、世界中で流行している季節性インフルエンザの広範な株に対してカバーができ、流行株が変化した場合にも一定の防御効果が期待できます。
<フルミストのワクチン製造株>
A/ノルウェー/31694/2022(H1N1)
A/タイ/8/2022(H3N2)
B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)
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