便秘薬まとめてみた
ようやくブログを更新できました。
一つのテーマに時間をかけすぎてしまい、ついおろそかに。
今後はもう少し簡便にコンスタントに投稿できればと反省しております。
今回は便秘薬の使い分けを、・・・簡単に。
<はじめに>
市販の便秘薬は効果がありますが、種類によっては注意が必要です。中でもセンナを含む刺激性下剤は強力に効果が実感できるため、今なお使用を続けてらっしゃる方も多いようです。
が、あまりオススメできません。
理由につきましては下記、是非お読みいただきたい。
便秘薬の分類
<刺激性下剤>
・アントラキノン系(センノシドなど)
・ジフェノール系(ビサコジル、ピコスルファートナトリウムなど)
<非刺激性下剤>
・浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース、ポリエチレングリコール)
・分泌型(ルビプロストン、リナクロチド)
・胆汁酸トランスポーター阻害薬(エロビキシバット)
作用と使い方
<刺激性下剤>
腸管神経を直接刺激して大腸の蠕動促進と分泌促進を強力に行うために高い効果が得られます。(イメージとしては無理やり出す感じです)
しかしその一方で、薬剤耐性や依存性があり、漫然と使い続けると
やがて効かなくなるどころか、便秘を増悪させます。
毎日内服することは避け、あくまでも頓服あるいは短期の使用に制限してください。
<非刺激性下剤>
基本的に毎日服用し、便の硬さや大腸蠕動を調整することで適切な排便を促します。
通常は酸化マグネシウム等から開始し、
効果が乏しい場合は増量したり変更したり調整します。
各種緩下剤の特徴
・ポリエチレングリコール
浸透圧性下剤といって電解質異常を起こさず安全性が高く、
実は昔から世界中で使用されています。
物理的に便を運びやすくしてあげるイメージ。
・ルビプロストンやリナクロチド
小腸で腸液の分泌を促進することで便を軟らかく、結腸の蠕動運動を促進させます。
リナクロチドは便秘薬としての作用だけでなく、内臓知覚過敏を抑制するので
腹痛の軽減が期待でき、便秘薬以外に過敏性腸症候群の治療薬としても使用できます。
・エロビキシバット
胆汁酸トランスポーター阻害薬といって、回腸末端で胆汁酸の再吸収を抑制します。
胆汁酸は大腸に到達すると蠕動運動を刺激し、水分分泌を刺激することが分かりました。
内服後5〜6時間で排便が得られるため満足度が高い一方で、
最初の数日間は軽度の腹痛を感じる方がおられます。
・ナルデメジンは少し特殊です。
オピオイドといって強い鎮痛作用のある物質が原因で起こる便秘に対するお薬で
抹消型オピオイド受容体拮抗薬といいます。普通の便秘の方には処方されません。
便秘で使われる漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
便秘、冷え、生理痛、貧血、更年期障害
女性、貧血やダイエットで便秘の方。
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
慢性便秘、お腹の張り
便秘以外特に問題がない人はまずこれ。
麻子仁丸(ましにんがん)
慢性便秘、コロコロの便、ふきでもの、便が硬い、おしっこの量が多い
便が硬く、コロコロしていたらお試しあれ。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
便秘、生理時や産後の不安、のぼせ、イライラ、生理不順
イライラが強く、体力がある人向け。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
便秘、ふきでもの、高血圧、肥満、肩こり、むくみ
ぽっこりお腹、暴飲暴食する人、ダイエットしたい人。
大柴胡湯(だいさいことう)
高血圧、肥満、便秘、みぞおちが苦しい、神経症
体力があって、脇腹からみぞおちにかけて苦しい人
乙字湯(おつじとう)
便秘、痔、脱肛
便が硬く、切れ痔、いぼ痔の方はまずこれ。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
便秘、下痢の繰り返し、過敏性腸症候群
便意はあるがトイレに行っても出ない、お腹が痛い、残便感の方
注意事項
※市販で使用される便秘薬は効果が得られますが、副作用を十分に理解しておく必要があります。
※便秘の原因は様々であるため、お薬だけで良いのかどうか考えることが重要です。特に貧血や体重減少を伴う便秘、高齢者の便秘では大腸がんも念頭におくべきです。
※そのほか特殊な例として
弛緩性(糖尿病、甲状腺機能低下、パーキンソン、下剤乱用)、
痙縮性(過敏性腸症候群)、
直腸性(直腸癌、痔核など)があることも知っておきましょう。
些細なお悩みでもお気軽にご相談下さい。