胃カメラで「異常なし」って言われたのに
・胃酸の逆流症状や胸やけ
・のど~心窩部(みぞおち)の違和感
・食物の飲み込みづらさ
・胸が痛いけど心電図は異常無い
などの状況があって、「胃カメラをしたけど異常無いと言われました。」
度々お目にかかるシチュエーションです。
もしかしたら、消化管蠕動運動の不具合を起こしているのかもしれません。
その内容について触れていきます。
上記の症状がある患者さんには
「胃食道逆流症 (Gastro esophageal reflux disease; GERD) 」
の診断で胃酸分泌抑制薬のPPI(プロトンポンプインヒビター)が処方されることが多いと思います。
概ね改善することが多いのですが、
近年、PPIでも改善しない抵抗例が増加しており社会問題となっています。
原因は様々ありますが、
中でも「食道運動異常症」について今回はご紹介したいと思います。
「食道運動異常症」および「胃食道逆流症」の原因は不明な部分も多く、病態に即した根本的な治療法が無いため、何らかの対症療法が行われております。
重要な病態の1つとして「食道の蠕動運動」が関わっていることは明らかです。
これを理解するためには、どうしても構造的なお話になります。
簡潔に申し上げますと
ヒト食道の上側1/3は横紋筋、下側2/3はその他の消化管筋層と同様に平滑筋で構成されています。
上側1/3の横紋筋は、安静時にも圧を有す上部食道括約筋を構成し、
下側2/3の平滑筋は、瞬発的な収縮様式である食道体部と、持続的で安静時圧を有す収縮を来す下部食道括約筋に分類されており蠕動が成り立っています。
これらの連携がうまくいかない時に違和感が生じます。
胃カメラを行った際に、見た目上は異常なくとも
「食道運動に異常はないか?」の観点を持って観察すると見えないものが見えてくるわけです。
当院ではその観点からも検査を行うことが可能です。
食道運動異常症の詳しい病態につきましては後日、第2段として挙げますので
症状でお悩みの方、ご興味のある方は除いてみて下さい。
ご不明な点などございましたら、お気軽にご相談下さい。