胃がんリスクの「ピロリ菌」をお調べください

本稿は「ピロリ菌」シリーズ第②段となります。

熊本市では40歳~49歳の方を対象に「胃がんリスク検診」と称して検査を推奨しています。血液検査により簡単に評価でき、ピロリ菌感染の実態を把握するとともに、将来の胃がんリスクを下げる取り組みを行っているわけです。

どうやって検査するの?

当院でできるピロリ菌感染の検査、2つの方法をご紹介します。

・まずは前述しました「血液検査」による「抗体測定法」。体内に細菌が侵入した際に作られる抗体。その原理を利用した検査方法です。食事に関係なく検査が可能です。

・もう一つの検査方法として「尿素呼気試験法」があります。

当院ではピロリ菌感染が判明した患者様に対して除菌薬の処方が可能です。

3種類のお薬(抗菌薬2種類+制酸薬)を1週間内服頂くことで9割型ピロリ菌除菌が成功します。

そこで、本当に除菌が成功したかどうかの判定を当院では「尿素呼気試験法」で行っております。呼気を2回採取する方法で検査自体は30分程度で終了します。患者さんへの負担や苦痛なく行えるのが特徴ですが、朝食は食べずに来院いただく必要がございます。

胃カメラとピロリ菌

一方で、何らかの症状があったり定期的な観察目的で胃カメラを行った際に、胃粘膜の状態(慢性炎症や粘膜萎縮)からピロリ菌感染を疑うこともございます。

当院では検査後に画像をお見せしながら一つ一つ丁寧に説明いたします

その際、ピロリ菌感染を疑った患者様には感染評価や除菌療法をご提案します。

内視鏡診察室

ピロリ菌がもたらす疾患

「胃・十二指腸潰瘍」「胃がん」のほか、

「悪性リンパ腫(MALTリンパ腫)」「特発性血小板減少性紫斑病」などもピロリ感染が原因で発症します。

これらを予防するためにも保険診療で除菌が可能となっております。

除菌療法

上述しましたが、抗菌薬2種類と胃酸を抑える薬を7日間(朝夕)服用します。抗菌薬を使用しますので、アレルギーや軟便・下痢に注意が必要です。

治療後2ヶ月を目処に尿素呼気試験を行い除菌が成功したか否かを判定します。

1回目の除菌(1次除菌療法)後に残念ながらピロリ菌の存在が確認された場合には、

薬剤を変更して2次除菌療法を行うことになります。ここまででおよそ9割の方が除菌に成功します。

検査と診断のながれ

・40~49歳に該当する方で、一度もピロリ菌の判定を受けていない方は

「熊本市胃がんリスク検診」をご利用できます。

上記に該当されない方は、保険診療を行う際に胃カメラ検査が必要となります。

・その他、なんらかの自覚症状(咽頭痛、むねやけ、吐き気、胸痛・胃痛など)があれば、まずは胃カメラ検査をお勧めします。その際にピロリ菌感染の有無を判断できますので、画像をお見せしながら詳しく説明いたします。

必要があればピロリ菌抗体検査をご提案させて頂きます。

さいごに

ピロリ菌感染による自覚症状はありません

これらがもたらす慢性胃炎、潰瘍形成、がんの発症が長時間におよぶことでやっと

「胃もたれ」「シクシク痛む」などの症状が違和感痛みとして感じることがあります。

したがって現時点で症状のない方もピロリ菌が胃の中にいる可能性はあります。

当院が最も大切にしたい「早期発見・早期治療」。ピロリ菌診断はその代表と言えます。

ささいなお悩みやご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

キタさん
  • キタさん
  • 出身:福岡県北九州市
       令和4年4月に熊本へ移住
    趣味:映画、旅行、ドライブ、ゴルフ
    資格:日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医