「のど」と「腫瘍」
胃カメラでは「食道」、「胃」、「十二指腸」を直接観察することができます。
最近ではさらに、
「胃カメラをするなら喉(のど)の観察も行うべき」
といった流れが主流になり、「あたりまえ」になりつつあります。
「のど ≒ 咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)」のことは耳鼻咽喉科にお任せ。
これは今も揺るぎない事実ではありますが、
最近の胃カメラでは「のど」の詳細観察だけでなく、
腫瘍切除といった「治療」までもが可能になってきました。
実際に
「咽頭(いんとう)がんや喉頭(こうとう)がん」が胃カメラで早期発見され、
胃カメラで切除に至る報告がどんどん増えており、私も携わってきました。
<観察のポイント>
胃カメラを口から入れると
「ぅヴォエッ」となります。
おそらくあのGAC○T様ですらも。
この嘔吐反射が、患者様にとっては苦痛であり、
検査する医師にとっては時間かかるし観察不十分だし。
中には憤りを感じる方さえおられるかもしれません。
そのお悩みの一助となるのが、
経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ)や鎮静剤(眠って検査)の使用となります。
しかし厳密にいうと鎮静剤を使用しない経鼻内視鏡観察が
一番喉の観察に適しているのは知っておいてほしい点です。
特に「のどの癌の発生リスクが高い方」は、時間をかけて喉の観察を詳細にすべきです。
<のどの癌の発生リスクが高い方>
・大酒家(お酒を飲んで顔が真っ赤になる方は要注意)
・愛煙家(ヘビースモーカー)
・男性>女性
・熱い食べ物や飲み物を好む方
・野菜、果物の摂取が不足している方
・不衛生な口腔環境
・食道がんの既往や家族歴がある方
(のどの癌と食道がんは合併しやすく、同時に発見されるケースは珍しくありません)
<治療について>
「咽頭(いんとう)がんや喉頭(こうとう)がん」のイメージというと、
手術によって声が出なくなるなど、負担の大きい治療という印象があります。
どの「がん」も同じですが、最も重要なのが「早期発見・早期治療」です。
早期に発見できれば外科手術を回避でき、発声機能や呼吸機能、嚥下機能への負担を最小限に留めることができ、それぞれの機能をそのまま温存できる可能性が高いのです。
胃カメラや大腸カメラによる腫瘍切除に「内視鏡的粘膜下層剥離術」があります。
なにやら難しい名前ですが、簡単に言ってしまえば名前のまんまで、内視鏡を使用して粘膜の下の層を剥がし取っていく治療です。
実はこれ、食道・胃・十二指腸・大腸だけでなく、
咽喉頭に発生した「がん」でさえも早期なら切除できるのです。
腫瘍が浅く、転移がない初期の状態に限られますが、外科的手術をせずに「がん」が取れます。
<まとめ>
・「のど ≒ 咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)」の観察は胃カメラで可能
・「のどの癌」とそのリスク
・リスクを知って早期発見・早期治療を
・早期発見・早期治療で大手術を回避
・そのためには定期的な胃カメラが有効なツールです
「のどの癌のリスクが高い」かもしれないと感じた方は、経鼻内視鏡をご検討ください。
ささいな症状やご不明な点はお気軽にお問い合わせください。