難治性アトピー性皮膚炎にデュピクセント皮下注300mg
アトピーの治療を頑張っているのに、残念ながらなかなか効果が実感できない。
そういった、中等症~重症のアトピーでお困りの方がおられます。
「デュピクセント」をご存知でしょうか?
今回はアトピー性皮膚炎に対する注射薬についてご紹介。
まずは有効性
国際共同試験(CHRONOS)の結果からお伝えします。
「18歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎」の患者のうち、
「3年以上の治療で効果が得られていない740人」を対象に行われた試験です。
ステロイド外用薬にデュピクセントを併用した集団と
ステロイド外用薬のみの集団に振り分けられ、52週間投与後の効果が比較されました。
結果、
「皮膚炎の面積」、「重症度」、「掻痒感」において50%以上の改善が確認されました。
作用
ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-4/13受容体モノクローナル抗体製剤
と呼ばれる注射薬です。
このIL-4やIL-13の働きを抑えることで
「アトピー性皮膚炎」や「気管支喘息」、「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」に効果が
期待できます。
当院では主に
現治療で効果が得られていないアトピー性皮膚炎の患者様に対して使用しています。
病気を完治させるものではないため、保湿外用剤などを継続使用する必要がありますのでお間違えないようにご理解ください。
使用方法
「自己注射」もしくは「院内で皮下注射」として使用します。
用量は症状や年齢、体格によって医師が決定します。
アトピー性皮膚炎に対して初回は2本、2回目以降は1本で開始し、
2週間に1回の頻度で経過を見ます。
通常16週までには効果が得られるものですが、その時点で効果が得られない場合には中止されることがあります。
冷凍保存になるため、使用の前に45分間の解凍を要します。来院されて投与ご希望の際は事前に連絡・予約をすると待ち時間短縮になります。
費用
とても良い薬で治療効果を見込めるものですが、一番の懸念は「費用」です。
保険適応ですので1~3割の負担となるのですが、
薬剤のみの値段で1本約58,000円と高額です。
3割負担の方で1本17,000円程度、初回投与は2本必要なので倍の値段がかかります。
高額なため「医療費控除」や「高額療養費制度」の使用が可能になるケースがあります。
まとめ
高額な費用となりますが、
長年の治療に効果が得られず諦めていた重症アトピー患者さんに対しても
かなりの改善効果が期待できるのがデュピクセントです。
使用した印象としては既存の治療と比較して「満足度が高い」ものとなっています。
しかしながら、まだまだデュピクセントを導入している医療機関が少ないようです。
ご不明な点やささいな症状でもお気軽にご相談ください。